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久し振りに "大相撲忘れえぬ名勝負" を書きます。昨年の11月以来です。
名勝負と呼ぶには微妙な部分がありますが、昭和59年秋場所の若嶋津ー
多賀竜は、蔵前国技館最後の優勝を争った相撲として、昭和の大相撲ファン
にとっては感慨深い一番です。

趣のある古風な外観と、なだらかな傾斜の観客席はテレビからは観客の顔
が山の裾野のように映り、その熱気が臨場感をもって伝わってくる素晴らしい
会場でした。若嶋津ー多賀竜は14日目、この日まで前頭12枚目の多賀竜
が1敗で単独トップ、2敗で入幕2場所目の小錦と大関の若嶋津が追ってい
ました。

若嶋津といえば名大関貴ノ花の弟弟子。188センチ・122キロの体は
当時でも軽量で、貴ノ花同様に真っ向勝負、悲壮感を漂わせた人気力士。
アイドル歌手の高田みづえとの結婚など、話題性もありました。しかしその
成績を改めて見てみると、人気だけでなく極めて横綱に近づいた大関だっ
たのに気付きます。昭和57年秋・九州と連続12勝3敗で、翌場所に大関
へ昇進した若嶋津は見事な安定感を見せます。

昭和57年の秋から、この昭和59年秋場所までの13場所のうち、何と11
回も9日目までを8勝1敗という抜群の成績を上げ、優勝2回に準優勝が
3回。1場所の途中休場を除いて、皆勤場所で10勝に届かなかったのは
1場所だけ。この1回だけの9勝6敗の前後が14勝1敗と15戦全勝の優勝、
つまり唯一失速したのは初めての綱取り場所のときのことです。そしてこの
全勝優勝の翌場所、昭和59年秋は若嶋津2度目の綱取り場所となりました。

14日目、12勝1敗の多賀竜と11勝2敗の若嶋津が優勝を賭けて対戦し
ます。しかしこの取組のために、消えてしまった本来の割りがありました。
横綱千代の富士ー東正大関若嶋津です。若嶋津はこの場所までに千代の
富士に7連敗中、大関に昇進してから好成績を続けていたとはいえ、千代の
富士には1度も勝ててはいませんでした。

綱取りの場所で、最も苦手の相手との割りを外され、しかし多賀竜を前に
して若嶋津は複雑な表情を浮かべ、緊張を隠せないでいました。

相撲は多賀竜得意の右四つになりましたが、両廻しを先に引いたのは若嶋津
でした。しかし先に動いたのは多賀竜、動きの中で上手を引き、仕掛けます。
若嶋津は両廻しを引き付けますが攻め手が無く、激しい動きの中で寄り倒され
ました。北の湖や琴風・朝潮といった重量級相手に食い下がって動き回る相撲
を得意にしていた若嶋津は、178センチの小兵多賀竜を捕まえても、勝手が
違ったようでした。

千代の富士は全休明けだったこの場所、調子は上がらず結局10勝5敗に
終わります。貴ノ花が成しえなかった軽量横綱の夢をのせて、大相撲ファン
の後押しとともに千代の富士ー若嶋津がもし実現していたら・・・。

大関昇進当初の2年半、7割6分という高い勝率を上げた若嶋津でしたが、
この多賀竜戦が最後の横綱挑戦となり、3度目はやってきませんでした。

ちなみに高田みづえは、私と同じ昭和35年6月の生まれです。関係あり
ませんけど。

昭和46年秋場所6日目の清国との一番は、貴ノ花の人気を決定付けた
相撲だったように思います。

それまでの貴ノ花にはアイドル的人気の面もありました。

それは名横綱若乃花の弟であったり、水泳のオリンピック候補より力士を
選んだという話だったり、本名の花田満が、マンガ「巨人の星」で超人気
だった花形満と1字違いだったりと、いろいろです。

しかしこの大関清国戦の衝撃は、貴ノ花がただのアイドルのレベルでは
ないことを大相撲ファンに思い知らせます。

完全に片足を足の付け根のあたりから抱え込まれた状態で、そこから逆転
するなど当時では考えられないことでした。
(それ以後でも考えられませんが)

清国は貴ノ花の左足を結構かなりの時間、抱えていた状態で攻め、貴ノ花
は取られた左足を清国の内腿に引っ掛けるようにして応戦しました。

軽量・童顔の若手力士が、大関に足を取られながらも懸命に粘っている
場面はそれだけで大相撲と呼べるものでした。

そしてとうとう、貴ノ花がこの窮地をしのぎにしのいで、ついに土俵に
両足を着けた瞬間の盛り上がりといったら、かつて聞いたことのないよう
な大歓声でした。

貴ノ花が再び両足で立っている状態になったとき、清国はすでに攻めあぐ
ねて疲れきっていたようで、貴ノ花に右上手を引かれてからすぐに仕掛け
られた上手投げに、引きずられるように崩れ落ちました。

アイドル人気ではなく、名勝負を残すことで長く大相撲ナンバーワンの
人気力士で在り続けた貴ノ花の、もっとも貴ノ花らしさを表現したスリル
とサスペンスの名勝負でした。

大相撲の一番の醍醐味は、胸と胸を隙間無く合わせたがっぷり四つで
力を競うところだと思います。

先場所の白鵬ー豪栄道戦が物足りなかったのは、胸を合わせることなく
とったりで勝負が決まったからです。

千代の富士と霧島、平成2年春場所6日目の両者の取組は、がっぷり四つ
の力感溢れた一番となりました。

前の場所で優勝回数を30回の大台に乗せた千代の富士は、いよいよ大鵬
の記録にもあと2回と迫り、この場所は千代の富士のキャリアで最大の
ハイライトともいえる、通算勝ち星1000勝が話題となっていました。

初日から快調に白星を重ね、記録達成の雰囲気も盛り上がった中、ついに
1000勝目にリーチをかけての6日目でした。

霧島は千代の富士にここまで11戦全敗。三役で初の勝ち越しをしてから
連続二ケタ勝利でこの場所は関脇、ブレイクの予感を何度か感じさせながら
も、このとき30歳と11ヶ月、大関挑戦場所というにはまだ微妙でした。

千代の富士と霧島は左四つで胸を合わせます。この時点で館内は異様な
ムード、歴史的瞬間への緊張が高まりました。誰もが千代の富士の勝利を
確信していたその場面で、霧島は高々と千代の富士を吊り上げます。

本当に、アレッという感じでした。千代の富士も悔しさよりも、呆気に
取られた表情で、しかし霧島はこの場所13勝2敗、ワンチャンスで大関
となり、翌日1000勝を達成した千代の富士は10勝5敗に終わります。

翌場所すぐにリベンジしたのは千代の富士らしいところですが、無敵の
イメージが初めて崩れたのが、この霧島戦でした。

この年の九州場所が31回目、千代の富士最後の優勝。このとき13勝
2敗の黒星のひとつが霧島戦、これが最後の対戦となります。

あの貴花田との有名な一番よりも1年早く、千代の富士時代の終わりが
近いことを知らせたのは、平成2年春場所の霧島とのがっぷり四つの一番
でした。

迫力のある相撲が減ったなと感じてはいても、龍虎さんなどがテレビで
力説すると、改めて再認識してしまいます。

迫力ある熱戦は今まで数多く見てきたつもりですが、最初に思い浮かぶ
相撲は、昭和42年春場所7日目、あの力士この技でも紹介した、今牛若
の藤ノ川と張り手の福の花の一番です。

藤ノ川はご存知伊勢ノ海親方、福の花は一昨年に定年の元関ノ戸親方です。

藤ノ川は当時20歳の新鋭で、入幕3場所目。
新入幕から連続勝ち越しと波に乗り、この場所も横綱大鵬に敗れただけの
1敗のみで7日目を迎えていました。猛烈な突き押しから殴りつけるような
突き落としと、迫力の相撲を連日展開していました。

対する福の花は当時26歳で、この場所が新小結。
ケンカファイトで来るなら来い、のタイプの力士です。

相撲は突っ張り合いから、いなし合い。藤ノ川はこちらと思えばあちらと
激しく動き回り、ハズミで福の花の張り手が髷に当たります。次の瞬間、
藤ノ川の髷が解け、肩にまでかかるザンバラ髪に。

ぜい肉のまったく無い藤ノ川は体以上に顔はさらに細く(俳優の阿部寛似)
眼光も鋭く、落ち武者風の妖気漂うザンバラ髪を振り乱し、相撲はそこから
また激しさを増し、両者土俵狭しと攻め合いとしのぎ合い。

最後は右ヒザが土俵に着きそうなほどの、強引な寄りで勝負は決まります。
興奮した面持ちで勝ち名乗りを受ける藤ノ川は、まさに地獄からの生還者
のようでした。そしてまた観客も興奮していたように思います。

この場所、12勝3敗で殊勲・技能賞を受賞した藤ノ川は、今牛若ブーム
を起こします。翌場所の大鵬戦での、片足を土俵の外に出しての土俵際の
一回転で物言いがついた一番(あの力士この技で書いた取組です)など、
強烈な印象を大相撲ファンに残しましたが、ケガのため26歳で引退。

藤ノ川に敗れた福の花は7勝8敗、新三役の場所を飾れませんでしたが、
丈夫で長持ち、35歳で引退します。

お互いに、力を出し切った名勝負でした。

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